後援会とは?
後援会とは 英語で Support Association と書きますが、サポートするアソシエーション つまり、候補者をサポートする団体 という意味を持ちます。
候補者が初出馬の場合、まずは選挙活動の準備を円滑に進めていくためにも後援会組織を立ち上げなければなりません。
後援会の力無くして候補者は何も出来ないというのが実情です。
後援会組織を立ち上げるにも予め候補者とその親族や今後の後援会の活動の中でも核となる人物を見つけます。
後援会の役割は、何かと忙しい候補者に変わって選挙事務所の選定、選挙に立候補する届出を所轄の選挙管理委員会に提出する書類の作成や、選挙用ポスターやリーフレット、名刺の準備からスタッフの手配、弁当の注文、選挙カーの準備など、やることは沢山あります。
そんな後援会組織について、今回は触れてみたいと思います。
組織立ち上げに必要な人員と役割
後援会長
まさに後援会の代表であり、チームの要です。
後援会長は選挙活動中においても一緒に選挙カーに乗り遊説をしながら候補者の応援演説をすることもあります。
また、事務所開きや出陣式、祝賀会、神事の際には後援会の代表として一言ご挨拶を賜る場面も多々あります。
人脈があり演説が候補者並に流暢でないと務まらない大事な役職です。
地方選挙での後援会長は、元市議会議員などの議員経験者(OB)であったり、過去にも選挙戦を戦ってきた経験者が引き受ける事も多いようです。
未経験の後援会長を選ぶのであれば、その枠割を明確にするためにも候補者とともに選挙経験のある諸先輩方に後援会長の立ち振舞いなどをご指導いただいたほうが賢明です。
因みに、選挙期間中の1週間は朝から晩まで活動を共に出来る人物であることが理想です。
よって、会社員の方を後援会長に任命する予定であれば、選挙期間中の1週間は有給休暇が取れる人物であることが条件となります。
よくありがちなのが、後援会長を引き受けておきながら選挙期間中に数度しか選挙事務所に顔を出さないような方。
これでは、他の運動員や後援会役員、候補者の家族から候補者が責められてしまいます。
その事を含めて、後援会長と出納責任者は後援会の要となりますので、しっかりと人選しておきたいものです。
出納責任者
出納責任者は読んで字の如く、後援会活動や選挙活動字における選挙事務所(または後援会事務所)で発生する経費の管理をする上での最高の権限を持っています。
一般企業においては経理部長的な存在となり、出納責任者または候補者の意思や許可なしでの経費の使用は認められません。
選挙事務所を立ち上げる際の出資は候補者から預かる自己資金や、後援会として受け取る寄付金により賄われますがこれらの管理も全て出納責任者の責任において管理することになります。
選挙活動ともなれば、ひつような経費は100万円を超える場合が多いので、出納責任者はその権限において収支の管理と記録、領収書やレシートの保管の責務を負います。
出納責任者は立候補準備期間中ならびに選挙期間中に発生した収支をすべて「収支報告書」にまとめて各行政区の選挙管理委員会に提出しなければなりません。
万が一この責務を怠った場合、公職選挙法違反として罰せられます。
基本的に上記の説明を受ければ、出納責任者は経費面の管理と収支報告書だけやっていれば良いのか~、などという認識をもってしまいがちです。
あながち間違いではありませんが、立ち上げたばかりの後援会事務所では何かと役不足、人手不足が多々発生します。
後援会事務局の最高責任者でもある「後援会事務局長」という役職もあり、これを出納責任者が兼務することも少なくありません。
出納責任者が最も忙しいのは、立候補準備中の立候補届出の必要書類の作成と選挙期間終了後の収支報告書や公費負担となるべき請求書の準備など、「選挙期間中の前後」です。言ってみれば選挙期間中はいちばん暇を持て余す事と思います。このことからも事務所内での来客の接待や、雑用的な事もしなければならない事も多く、自己嫌悪に陥ることもあります....。また、時には候補者や運動員と一緒に選挙カーに乗って遊説に参加することもあるでしょう。
出納責任者をやった経験のある私から言わせれば、候補者の次に大変な仕事です。
書類の作成や提出、管理責任の度合などを鑑みると実際の仕事量は候補者以上です。
選対本部長
選挙活動における全ての事柄を統括する責任者です。
特に選挙遊説中の選挙カーのルート選定や、街頭演説の予定、個人演説会の決定など、限られた選挙期間を有効に使うための選挙戦活動の全てを取り仕切ります。
選対本部長こそ、選挙というものを知っているスペシャリストでなければ任せられない重要なポストです。
戦略の是非により大事な1票をモノにするかしないか......が掛かっています。
特に遊説中においては、選挙事務所に対してクレームの電話も鳴り響きます。
クレームのなかには「選挙カーのスピーカーがうるさい」というようなクレームや、支持者から「そちらの選挙カーが全然回ってこないぞ!!」という嬉しいクレーム?に至るまで、実に様々なお問い合わせを頂きます。
そのようなクレームに対して、翌日の選挙カーのルートを変更したり、急遽個人演説会や街頭演説を開催するなど、選対本部長の手腕が問われます。
因みに、街頭演説の場合、事前に所轄の警察署に道路使用許可を取らなければなりませんので付け加えておきます。
このように、選対本部長は選挙戦を優位にすすめていく上での後援会組織の頭脳でありリーダーです。
三国志で言うところの軍師、参謀長です。
故に過去に選挙戦を戦ったことのある経験者であることが望まいことは言うまでもありません。
後援会長、出納責任者と同様、任命には相当の注意と人選が必要です。
事務局長
後援会事務局を切り盛りする責任者です。
出納責任者の項でも触れましたが、組織化が進んでおらず出来たばかりの後援会などでは出納責任者が兼務することも少なくありません。
後援会事務局のリーダーでありますから、選挙事務所にお越しくださった支持者の方や来賓の応対などもしなければなりません。
また、選挙期間中に発生したクレームの処理、事務所開きや出陣式、個別演説会などもの司会も担当する事が比較的多いです。
事務局の長ですので、選挙事務所・後援会事務所の全てを取り仕切る長ですので、その場で起きた事全てにおいて責任と権限が与えられます。
よって、責任感があってリーダーシップが取れる人員であることが望ましいでしょう。
また、運動員や選挙事務員を雇っている場合、その方々の勤怠管理等も仕事内容に含まれます。
掲示責任者
掲示責任者とは、選挙期間中の候補者のポスターを貼り付ける際の責任者です。
掲示責任者は、選挙期間中において候補者のポスター掲示板に自陣営の候補者のポスターを貼り付ける際や、天災などにより万がいちポスターが剥がれた際にポスターの貼り直しを命じられる責任者となります。
いくら後援会内部の人間と言えども、自陣営の候補者のポスターが剥がれた、剥がされた、破られたからとて、掲示責任者の許可無しでポスターに触ることは公職選挙法で禁止されています。
掲示責任者の許可があれば、所轄の選挙管理委員会の許可が無くても、自陣営の候補者のポスターに限り貼り直しなどの指示が出せることとなっていますが、万が一貼り直しなどの作業が発生した場合は、選挙管理委員会に一報を入れてから作業を行ったほうが安心です。
掲示責任者は、ポスターの最下段に責任者の名前と住所が記載されます。
これを嫌って、なかなか掲示責任者を引き受けてくれる人というのが少ないのが現状ですが、一般的には後援会長や出納責任者が兼任する場合が多いとされます。
ポスターに名前が刻まれる事により、候補者の次に名前が売れる事になります。
まとめ
後援会長、出納責任者、選対本部長、事務局長の各部門の長が決まってしまえば、とりあえずは安泰です。
とは言え、この4名を集めて組織図に追加しただけでは選挙戦を戦い抜く事は出来ません。
あくまでも後援会組織を立ち上げるための核となる人員の長が決まっただけなので、後援会組織を選挙期間中は選挙事務所として稼働させるには、ウグイス嬢、街宣車運転手、運動員、ポスター貼り要員、遊説部隊などなど、更に細かい人員が必要となります。これについては、また別の機会にお話したいと思います。
実際のところ立ち上げたばかりの後援会というものは、上記の 4名の長 さえも揃えられず、候補者自らが出納責任者やカラス(うぐいすの男性バージョン)を兼務するという過酷な選挙戦を戦い抜く陣営も存在します。
立候補を表明する時点である程度の人員のめぼしを付け、そして根回しをするなどと言った配慮は早めにしておくに越した事はありません。
後援会組織が固まっていないと、選挙期間中に候補者は自分が理想とする選挙戦のスケジュールで遊説することもままなりません。
まずは、出納責任者は自分が最も信頼出来る人財を任命し、それから組織固めをしていけは宜しいのでは?と思います。
今回は、後援会組織の立ち上げに必要な人員 についてまとめました。